奥村 竜太郎

高い美意識と独自の感性で切り拓く 日本料理の新たな境地

 日本料理店『おく村』で、16年間料理長を務める奥村竜太郎。瀬戸内をはじめ、京都や静岡など全国各地から仕入れる旬の食材を使った目にも鮮やかな料理の数々。季節ごとに変わる見事な器。温かくも凛とした空気感。細部まで行き届いたもてなしの心。五感のすべてを刺激する美意識の高さは、舌の肥えた大人たちを満足させ続けている。

 彼が料理人を志したきっかけは、大学に通う学費を稼ぐために始めた寿司屋のアルバイトだった。次第に日本料理の魅力にのめり込んだ奥村は、20歳の時に大学を中退して料理人として生きていくことを決意。その後、京都や大阪のホテル、寿司、割烹、京料理など様々な店で10年間の修行を積み、2002年にオーナーである内山社長の誘いで『おく村』をオープンした。「料理長を務めるのは初めてのことやし、最初はガムシャラでした。少しずつ店のスタイルを変化させながら、完全予約制・おまかせコースのみにすることで、自分が想う最良のスタイルに近づいたように感じます」。その言葉から伝わるのは、一人ひとりのお客様と全力で向き合おうとする気概と確固たる信念。わざわざ予約してでも訪れたいと願う人があとを絶たないのも納得だ。

 早朝6時の仕入先とのやり取りに始まり、店を終えて自宅で深夜まで翌日の献立を考案する。修行時代と変わらずハードな日々を過ごす奥村。「自分だけ楽するわけにはいかない。天才じゃないですから、献立や新メニューもずっと頭の片隅で考えて考えて・・・その都度アイディアを書き留めてますよ」と教えてくれた。その飽くなき探究心は『おく村』の料理を常に進化させ、伝統を守る頑固さと枠にとらわれない奔放さが同居した“奥村流”の日本料理は、ミシュランガイド2018で1つ星に輝き、これまで以上に広く注目を集めている。

 料理人になって100%満足していると言いつつも、「学生時代のアルバイトが寿司屋じゃなかったら料理人にはなってなかったかもしれないですね」と、冗談めかして話してくれた奥村。しかし『おく村』の料理を食べれば誰もが、これほど高い美意識と独自の世界観を放つ日本料理店が福山にあるということ、そしてこの素晴らしい職人を日本料理と引き合わせてくれた運命に感謝したくなるはずだ。

夏の訪れを告げる鮎。素材にこだわり、手間を惜しまず一つひとつ丁寧に調理する。

旬食材を煮こごりで閉じ込めた鱧と夏野菜のゼリーよせ。涼しげな見た目が食欲をそそる。

‣PROFILE

名前:奥村 竜太郎

血液型:A型

職業:料理人 

出身地:京都府山科区

趣味:読書、自宅でお酒を飲みながら映画鑑賞

好きな飲食店:PIZZERIA DOMANI、日本料理 滴水、蓮華

好きなテレビ番組:プロフェッショナル、情熱大陸、大河ドラマ

地元の好きな所:人も街ものんびりしているところ

尊敬する人物:イメージサロンカッツ内山社長

座右の銘:一生懸命

大事にしていること:真摯に料理に取り組む姿勢、家族とスタッフ

‣店舗情報

旬彩酒肴 おく村

広島県福山市春日町1-1-4

084-946-6866

昼11:45~15:00 夜18:00~22:30

定休日 水曜日

駐車場 あり