福山駅近くのサロン『ａｍｅ』のスタイリスト・岡本竜也。２１歳の時に同サロンに入社。アシスタントから経験を積み重ね、２９歳の時に店長に抜擢される。現在はスタイリストとして腕を振るいつつ、店全体のまとめ役として活躍中だ。

　美容師を志したのは高校生の頃。ファッションやヘアに興味のあった岡本は、自分の好きなことを活かせて、人の役にも立てる美容師という仕事に魅力を感じるように。何か手に職を付けたいという思いもあった。専門学校を卒業し念願の仕事に就くが、２０代前半は自分に自信が持てず、悩む日々が続く。変化が起きたのは２０代半ば。担当の顧客が付くようになると、技術的な不安もなくなり、達成感を得られるようになっていった。「多くのお客様と接するうちに、緊張しいの性格も少しは改善されたかな（笑）」。

　同サロンに勤めて１２年になる岡本。１０年以上同じ店で働いているため、顧客の成長する姿を間近で見てきた。出会った時に学生だった子が、学校を卒業し、社会人になり、結婚し、今ではママになっている場合もある。「卒業式、成人式、結婚式とヘアセットを担当させてもらったお客様もいらっしゃいます。人生の大切な節目に関われる仕事ですので、やりがいは大きいですね。親心のような気持ちもありますし」とうれしそうに話す姿が印象的だ。

サロンには話好きから、そっとして欲しいタイプまで、さまざまな人が訪れる。岡本が大切にしているのが“お客様にできるだけ気持ち良く過ごしてもらうこと”。カットやパーマなどの技術面で満足してもらうことはもちろん、サロンで過ごす時間にも満足してもらいたいという。そのために、空気を読み、一人ひとりに合わせた細やかなコミュニケーションを心がけている。自分から話すのが得意ではないため、聞き手に回ることが多いが、帰り際に「楽しかった」と言ってもらえると本当にうれしいそう。「普段、生活しているだけでは関わらない人と出会えることも美容師の魅力。今はＳＮＳなどで情報があふれていますが、髪のお手入れの仕方など実際に会って直接伝えていきたいですね。人と人との繋がりを大切に、当サロンからヘアに関することを発信していければ」と意欲をみせる。