『SHIMA.コンディショニングルーム』でセラピスト兼パーソナルトレーナーを務める島大樹がこの事業を立ち上げるきっかけは18歳の時にある。サッカーに明け暮れていた高校三年生の島は膝を負傷。入院とリハビリを経験し、体育系大学への進学を諦める代わりに自分の手で誰かの体を変えたいと考えるようになった。

　高校卒業後は専門学校に通いながら治療院に約７年間勤務し、2003年に福山へUターン。独立後はセラピストとして往診する傍ら、地元私立高校サッカー部の専属トレーナーとして活躍するなどハードな日々を過ごすなか、島の心に変化が訪れる。「健康的な体づくりには、施術によるケアだけでは限界があると感じ始めました。すでに活動はしていましたが、資格を取得してトレーナーとしての道を改めて志してみたいと思いました」。

　2009年にNSCA認定パーソナルトレーナー資格を取得し、トレーナーとしての活動を正式にスタートした。「運動はツライものではなく体にも心にも良いこと。動くって楽しい！って感じてほしい」。そう語る島が目指すのは、心と体をトータルでコンディショニングし一人ひとりの健康志向を高めること。現在、『SHIMA,』には様々な人が訪れる。体に不調や違和感を抱える人、慢性的な疲労に悩む人には、筋膜コンディショニングや骨格調整を施すことで身体を整える。そして、スポーツにおける故障予防やパフォーマンスアップ、理想的な体型の実現を目指す人には自重トレーニングを組み合わせたメニューを提供。さらに、セルフコンディショニングに関するセミナーや、運動初心者や高齢者でも安全に行えるスロージョギング講習会を行うほか、オンラインパーソナルトレーニングサービスのトレーナーを務めるなど、福山を軸にしながらその活動は全国へと展開しつつある。　

　人と関わり、人を元気にするサポートをしながら、自らが考案したトレーニングをまとめて書籍化し、より多くの人たちに運動の楽しさを伝えるのがこれからの夢だ。「地域活性化って言いますけど、人が元気じゃないとまちは元気にならない。年齢や性別を問わず多くの人の健康をサポートしていきたいです！」。島の晴れやかな笑顔はこの場所から元気の輪がどんどん広がっていくことを予感させる。